年頭所感-1 国土交通大臣 赤羽 一嘉

「現場主義」で諸課題に対処 国土交通大臣 赤羽 一嘉

赤羽一嘉国土交通大臣

防災・減災、国土強靱化を推進

 今年は、阪神・淡路大震災から25年目の節目の年です。阪神・淡路大震災は、我が国の防災対策の原点であるとともに、私の政治家としての原点でもあります。

 私は、この阪神・淡路大震災で、自ら被災しました。被災現場を走り回り、制度の壁を打ち破り、生活再建や復旧・復興に全身全霊を傾けたことで、常に「現場主義」で取り組むことが私の政治家としての信条となりました。国土交通行政の直面する様々な課題に対し、引き続き「現場主義」に立脚し、全力で取り組んでいく所存です。

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 昨年12月、新たな経済対策として「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」が閣議決定されました。この経済対策には、相次ぐ自然災害からの復旧・復興の加速や、防災・減災、国土強靱化の取組の着実な推進と更なる強化など、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保・中小企業・小規模事業者の生産性向上のための環境整備など、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援・外国人観光客6000万人時代を見据えた基盤整備、生産性向上を支えるインフラの整備など、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上に向けた施策が盛り込まれております。国土交通省としても、これらの施策が迅速かつ着実に実行されるよう、しっかりと取り組んでまいります。

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 今年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催を迎えます。東京をはじめ、我が国各地域の魅力を発信する絶好の機会です。国土交通省としても、ソフトターゲットへのテロ対策や海上警備を含むセキュリティ対策、首都地域の防災対策や渇水対応の強化、円滑な輸送の確保など、関係者と連携して大会の成功に万全を期してまいります。

 本年は、とりわけ以下の4本の柱を中心として諸課題に取り組んでまいります。

①防災・減災を社会の主流に!
②観光による地方創生
③安全・安心な移動環境の整備
④持続可能な地域社会と経済成長の実現

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 昨年は、台風第15号・17号・19号・21号など、相次ぐ大規模な自然災害により、防災・減災の取組の重要性が再認識される年となりました。

 台風第15号の発生後、私は大きな被害を受けた千葉県内の被災地に足を運びましたが、多くの住宅が屋根に被害を受けてり、これらに対して支援して欲しいとの地元の強い要望をお聞きしました。こうした要望を踏まえ、政府として検討を行い、従来は災害救助法に基づく応急修理制度の対象とならなかった、半壊に準ずる一部損壊住宅についても対象を拡大しました。また、それでも対象とならない住宅については、住宅の耐震性の向上等に資する屋根の補修等を行う場合に、国土交通省としても「防災・安全交付金」で支援を行うことといたしました。

 また、台風第19号の被害も踏まえ、一連の災害からの復旧・復興のため、政府は、昨年11月、「被災者の生活と生業(なりわい)の再建に向けた対策パッケージ」をとりまとめました。国土交通省としても、廃棄物・土砂の撤去、住宅の再建、観光需要喚起に向けた対策、公共土木施設等の応急復旧等、地域住民の交通手段の確保などの支援策を盛り込んだところです。

 廃棄物・土砂の撤去については、被災自治体に堆積土砂排除に係る技術的助言を実施するとともに、土砂排除の経験を有する他の自治体からの応援職員について派遣を行っております。引き続き、堆積土砂の排除を行う自治体への支援を実施してまいります。

【インフラ老朽化対策の推進】 

我が国では、高度経済成長期以降に整備したインフラの老朽化が進んでいることから、国民の安全・安心や社会経済活動の基盤となるインフラの維持管理・更新を計画的に進めていくことが重要です。このため、インフラの長寿命化を図るための計画的な維持管理・更新や、「予防保全」の取組と新技術の開発・導入等によるトータルコストの縮減・平準化を図ってまいります。

 さらに、「インフラメンテナンス国民会議」の活動を通じて、新技術の開発・社会実装を後押しするなど、メンテナンス産業の育成・活性化を図るとともに、地方への展開を一層強化してまいります。あわせて、優れた取組や技術開発を「インフラメンテナンス大賞」において表彰し、広く共有してまいります。

 昨年9月から11月にかけて、我が国でラグビー・ワールドカップ大会が開催されました。世界中のラグビーファンが各地を訪問し、多くの地域住民との間に交流が生まれました。訪日外国人旅行者の拡大は、地域に新たな消費や雇用を生み、賑わいと活気をもたらすとともに、各地域がその活性化に向けて主体的に取り組む機運を生み出すものと実感しました。

 観光は我が国の成長戦略の柱、地方創生の切り札であります。昨年の訪日外国人旅行者数は7年連続で過去最高を記録し、3000万人を突破しました。「明日の日本支える観光ビジョン」に掲げた2020年訪日外国人旅行者数4000万人、2030年6000万人等の目標達成に向けて、地方誘客と消費拡大に向けた取組を一層推進し、観光先進国の実現に取り組んでまいります。

【IRの整備】

 昨年末シンガポールのIRを視察し、我が国へのIR導入に当たっては、これまでに無いスケールの施設を備えつつ有害影響排除対策に万全を期す必要性を感じたところです。今月には、カジノ管理委員会が設置され、IR区域を認定する際の審査基準などを盛り込んだ基本方針を決定することとなっております。引き続き、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を目指し、所要の準備作業を丁寧に進めてまいります。

 【持続可能な地域社会の形成】 AI、IoT等の新技術をまちづくりに取り入れた「スマートシティ」については、昨年5月に先駆的な15のモデル事業を選定し、重点的に支援しているほか、8月には、官民の知恵やノウハウを結集するため、関係府省と共同で企業、大学・研究機関、地方公共団体等を会員とする官民連携プラットフォームを設立しました。今後は、これらの取組を通じてモデル事業等を推進するとともに、都市インフラへのIoT技術等の実装を進めることで、成功モデルの全国展開を促進し、スマートシティを強力に推進してまいります。

 生活サービス機能と居住を拠点に誘導し、公共交通で結ぶコンパクト・プラス・ネットワークについては、昨年7月末までに立地適正化計画の作成に取り組む市町村が477都市、作成・公表した市町村が272都市、立地適正化計画と地域公共交通網形成計画を併せて作成した市町村が172都市と着実に増加しております。

 住宅分野では、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向けて、安心して購入することができる既存住宅の普及を進めるため、耐震性があり、構造上の不具合などが認められないなど、一定の要件を満たす既存住宅について流通を図るための「安心R住宅」制度の取組を進めてまいります。

 空き家対策については、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、個々の地方公共団体が行う指導・助言、行政代執行等の措置や、空き家の除却・利活用等に対する支援などに積極的に取り組んでいるところです。

 さらに、空き家等の流通・マッチングや再生を図るため、「全国版空き家・空き地バンク」の活用を促進してまいります。今後とも、空き家の利活用・流通促進に官民総力戦で取り組んでまいります。

 高経年マンションの増加が急速に進む中、建物・設備の老朽化、管理組合の担い手不足、建替え等の合意形成の困難さ等の課題が生じることが見込まれることから、マンションの維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取組を強化し、マンション政策を強力に進めてまいります。

【重点的・戦略的な社会資本整備】

 社会資本整備については、厳しい財政制約の下、安全・安心の確保を前提に、生産性の向上や経済活性化に資する、ストック効果の高い事業を重点的・戦略的に進めることが必要です。 高速道路については、財政投融資を活用して、生産性向上のための新名神高速道路の六車線化、安全性・信頼性等の向上のための暫定二車線区間における四車線化等を行うこととしています。

 これに加え、整備新幹線、リニア中央新幹線や、地域産業の生産性向上に直結するインフラ等について、地元の理解を得つつ、着実に整備が進められるよう、必要な取組を行ってまいります。

 新幹線については、現在建設中の北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)・陸新幹線(金沢・敦賀間)・九州新幹線(武雄温泉・長崎間)について、平成27年1月の政府・与党申合せにおける完成・開業目標時期の確実な実現に向け、着実に整備を進めるとともに、残る未着工区間の整備の目途を早期につける等、新幹線の全国ネットワークの構築に取り組んでまいります。

 リニア中央新幹線の品川・名古屋間については、建設主体であるJR東海において、全長約286kmのうち、約半分の区間で工事契約が締結されており、2027年の開業を目指して工事が本格化しているところです。国土交通省としては、引き続きこの事業が着実に進められるよう、必要な調整や協力等を行ってまいります。

【現場を支える人材の確保・育成等に向けた働き方改革】

 社会全体の生産性向上に加え、産業の中長期的な担い手の確保・育成に向けて働き方改革を進めることも重要です。

 建設産業においては、適正な工期設定や週休2日、公共工事の施工時期の平準化の推進など、関係者一丸となった取組が不可欠です。昨年6月に成立した新・担い手3法を踏まえ、働き方改革や災害時の緊急対応強化、持続可能な事業環境の確保等に向け、実行性のある施策を講じてまいります。 また、昨年4月より本運用が開始された「建設キャリアアップシステム」により、建設技能者の経験や技能を業界横断的に蓄積し、その処遇改善につなげてまいります。あわせて、建設技能者に必要とされる技能の習得を継続的に行う建設リカレント教育や多能工化の推進などの人材育成も進めてまいります。

【Society5・0時代に向けた取組】

 人口減少・超高齢化社会を迎える中で、国民の安全・安心や持続的な経済成長を確保するには、働き手の減少を上回る生産性の向上によって潜在的な成長力を高め、新たな需要を掘り起こすことが極めて重要です。そのため、新技術も積極的に活用し、スマートシティの推進等のほか、我が国産業の生産性向上や新市場の開拓に向けた取組を進める必要があります。

 建設現場においては、測量・施工・検査等の建設生産プロセス全体を対象としてICTの導入を拡大するi―Constructionを進めます。これまで対象となる国土交通省発注工事の約6割でICTを活用した工事が実施される一方、地方公共団体や中小企業への普及促進が課題として残っており、積算基準の改定やトップランナーによる普及活動等、地方自治体や中小企業がさらにICTを導入しやすくなるような環境整備を推進するとともに、5Gを活用した無人化施工等の新技術の現場実装を推進します。

 また、i―Constructionの取組により得られるデータや、地盤情報、民間建築物等の国土に関する情報、官民が保有する公共交通や物流・商流等の経済活動に関するデータ、気象等の自然現象に関するデータを連携させ、サイバー空間上に再現する「国土交通データプラットフォーム」を産官学が連携して構築し、施策の高度化やイノベーションの創出を目指します。 さいごに国土交通省は、本年も「現場主義」を徹底し、諸課題に全力で取り組んでいく所存です。国民の皆様の一層の御理解、御協力をお願いするとともに、本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心から祈念いたします。

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日本塗装時報第2033号掲載記事

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