年頭所感-2 厚生労働大臣 加藤 勝信
- 2020/1/18
- 行政ニュース
年頭所感-2 厚生労働大臣 加藤 勝信
働き方改革の推進を 厚生労働大臣 加藤 勝信
厚生労働省一体となって全力で
令和二年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
厚生労働大臣就任から約四ヶ月が経過しました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。
【災害への対応等】
昨年は、台風や記録的な大雨による甚大な被害が全国各地で発生しました。改めまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安心・安全な生活を取り戻せるよう、スピード感をもって対策を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、医療・福祉・水道施設等の強靱化に取り組みます。
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【戦没者遺骨収集事業を巡る問題等】
援護施策において、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、長年に渡り適切な対応が行われてこなかったことや、公的統計を巡る不適切な取扱いなど、行政に対する信頼を損なう事案が生じたことに対し、改めてお詫び申し上げます。深い反省と、二度と繰り返さないという強い信念の下、厚生労働省のガバナンス強化や業務改革等に全力で取り組みます。
【全世代型社会保障への改革】
昨年九月に、安倍総理を議長とする「全世代型社会保障検討会議」が設置され、年末に中間報告を取りまとめました。まずは、この中間報告を基に、次期通常国会に高齢者雇用や年金の関連法案の提出を目指すとともに、医療についても、関係審議会での議論を本格化し、今夏の最終報告に向け、検討を進めます。
【多様な就労・社会参加の促進】
少子高齢化が進む中で、多様化する就業ニーズに対応したセーフティネットの整備や、高齢者の就業機会の確保などを図るため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。また、高齢者が安心して安全に働けるよう、増加する転倒災害の防止等の労働安全衛生対策にも取り組みます。いわゆる就職氷河期世代の方々に対しては、一人ひとりの状況に応じた支援を行うことで、働くことや社会参加を支援します。
【年金制度改革】
年金制度については、老後生活の基本を支える公的年金の安定的運営と充実に努めるとともに、老後生活の多様なニーズに対応する私的年金の普及・促進を図ってきましたが、働く意欲の高い高齢者が増えるなど、社会・経済の変化に対応した制度を構築する必要があります。昨年の財政検証結果を踏まえ、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、年金受給開始時期の選択肢の拡大等を図るとともに、確定拠出年金の加入可能要件を見直すなど、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るための改正法案の提出を目指します。
【地域共生社会の実現に向けた社会福祉制度・介護保険制度改革】
人口減少、地域社会の変容が進む中で、地域とのつながりを失い孤立したり、一つの家庭の中で複合的な課題を抱えるケースが生じています。こうしたケースに対応するため、包括的な支援体制の構築や社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設等を通じて、地域共生社会の実現に向けて取り組みます。また、地域包括ケアシステムを推進するとともに、介護保険制度を基盤とした地域共生社会を実現するため、介護予防・地域づくりと認知症施策の推進や、地域特性等に応じた介護基盤整備、生産性向上等の取組を進めます。
【地域医療体制の整備等】
医療分野では、二〇二五年の地域の医療ニーズを把握し、病床機能の最適化を目指す「地域医療構想」、医療現場で常態化している長時間労働を是正する「医師の働き方改革」、医師の最適な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す「医師偏在対策」を一体的に進めていきます。また、健康寿命の延伸を図るため、ナッジ理論などの行動経済学の知見も活用し、予防・健康づくりを推進します。
【働き方改革の推進】
本年四月から、大企業に同一労働同一賃金のルールが、中小企業に時間外労働の上限規制が適用されます。制度改正に関する丁寧な周知に加え、生産性向上に取り組む中小企業に対する支援等により、円滑な施行に努めます。 経済の好循環の実現のためには賃金の引上げが重要です。中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するとともに、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金がより早期に全国加重平均千円となることを目指します。 また、全ての方がその能力を存分に発揮できる社会の実現に向けて、リカレント教育を始めとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援、ハラスメント対策の推進、柔軟な働き方がしやすい環境整備等に取り組みます。
【子ども・子育て支援】
待機児童の解消に向けて、「子育て安心プラン」に基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受け皿を整備し、保育人材の確保等を行います。また、関係省庁と連携し、幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に努めるとともに、保育の質の確保にも一層取り組みます。さらに、全ての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指し、児童虐待防止対策や子どもの貧困対策に取り組みます。そのほか、社会経済の変化に対応しつつ、厚生労働省に対する要請に適時・的確に応えることができるよう、医薬品・医療機器施策、感染症対策、障害者福祉、社会福祉等、山積する課題に果断に取り組んでまいります。
おわりに、本年が、国民の皆様お一人おひとりにとって、実り多き素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。
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日本塗装時報第2033号掲載記事