一人親方のインボイス対応進む 全建総連・建経研調査
- 2024/4/18
- 団体・組合
一人親方のインボイス対応進む 全建総連・建経研調査
全国建設労働組合総連合
全国建設労働組合総連合(全建総連)と建設経済研究所は4月5日、「インボイス制度の導入前に免税事業者であった一人親方アンケート(第3回)」の結果を公表した。それによると、インボイス制度が導入されたことで「登録番号を取得した」および「これから取得を予定している」のは、合計58・2%で、半数以上の一人親方が課税事業者になることを選んだ。ただ、登録番号を取得した業者で昨年10月以降、消費税分が単価に上乗せできたのは約35%にとどまった。
同調査は紙とウェブを併用し、昨年11月20日から12月25日まで実施。2708の有効回答(免税2187、課税521)を得た。このうち、インボイス制度導入前に免税事業者であった2187の回答について集計した。 年齢は60代(29・8%)が最も多く、以下50代(27・1 %)、70歳以上18・5%)、40代(17・5%)、30代(5・6%)、20代(1・6%)と続く。
職業は建築大工が41・7%を占めた。 主に働いている現場は「町場、工務店などの現場」(60・3%)、「大手プレハブ、住宅会社の現場」(15・4%)、「ゼネコンの野丁場など」(13・6%)、「地元の住販・不動産会社など建売現場」(10・7%)の順。 最も多い請負の階層は一次下請(40・0%)、二次下請(27・3%)、元請(21・2%)、三次下請(11・6%)。
「インボイス制度が導入されたことで登録番号を取得したか」の質問には「取得した」(52・1%)、「これから取得する予定」(6・1%)、「取得していない」(41・8%)と回答した。番号を取得した小規模事業者向けの税負担軽減措置として適用される「2割特例」について、「知っている」は57・1%にとどまった。
「取引している上位企業から、制度導入後の取引についてどのように通知されたか」との質問には、「課税事業者になってほしい」(35・8%)、「課税事業者にならないと今後の取引をしない」(5・1%)、「雇用したい」(0・9%)、「課税事業者にならないと値引きする」(7・1%)、「消費者(施主など)との取引なので関係ない」(6・4%)、「取引先が簡易課税事業者のため聞かれていない」(1・3%)、「特に何も言われていない」(43・5%)と回答。
制度導入後、登録番号を取得して課税業者になった人に「その消費税分は2023年10月以降、上位企業から支払われた単価に上乗せされたか」との質問には、「話し合いをして上乗せ」(14・2%)、「話し合いはしていないが上乗せ」(20・7 %)、「話し合いをしたが単価は据え置き」(12・3%)、「話し合いはしていないが単価は据え置き」(52・9%)。上乗せできたのは合計34・9%で、残り約3分の2の業者は単価が据え置かれている。
また、インボイスの番号取得をしていない非課税業者に、昨年10月以降、取引相手の課税事業者(本則課税)との取引価格はどうなったか聞いたところ、「話し合いをしたが消費税分が値引きになった」(19・4%)、「話し合いはしていないが消費税分が値引きになった」(17・3%)、「上がった」(4・5%)、「今までと変わらない」(58・8%)と答え、36・7%の非課税業者が消費税分を値引きされた。 「インボイス制度の導入をきっかけに仕事をやめる可能性はあるか」との問いには、「収入が減るならやめる」(9・1%)、「収入が減らなくても手続きが面倒ならうやめる」(4・1%)、「やめることはない」(52・9 %)、「わからない」(34・0%)と回答した。
「取引している上位企業から『インボイス制度の導入に向け雇用したい』と持ちかけられたら、どのように対応するか」との質問には、「一人親方を続ける」(51・5%)が最も多く、以下「わからない」(25・4 %)、「収入が増えるのであれば、雇い入れてもらう」( 12 ・6%)、「仕事をやめる」(4・5%)、「収入が変わらないのであれば、雇い入れてもらう」(3・8%)、「収入が少し減るくらいであれば、雇い入れてもらう」(2・1%)の順だった。
また、「2024年1月から電子帳簿保存法改正によって、すべての事業者が電子取引に関するデータを電子保存する義務があることを知っているか」との質問には、「知っている」(53・1%)、「知らない」(46・9%)と回答した。
日本塗装時報第2092号(2024年4月18日号)掲載記事