【だめひろい】ペンキはウイルスではない 塗料・塗装への偏見を正せ

【だめひろい】ペンキはウイルスではない 塗料・塗装への偏見を正せ

▼新型コロナウイルスをペンキに例えると分かりやすい?―塗料・塗装業界からすれば、甚だ不愉快なテレビ番組が放映された。NHK総合テレビの番組「未来スイッチ」(6月4日午後11時40分~45分)では、「新型コロナ “外はペンキ塗りたて”」と題して、ペンキに例えたウイルスが、どうすれば体内に入らないようにできるのかをイラストを使って解説した。

▼同番組のホームページによると、「感染している人のせきやくしゃみは、ペンキのスプレーだと思ってください。その人から、プシュとスプレーされたところには、ペンキがついています。ドアノブ、エレベーターのボタン、ATMのタッチパネル、そこを触ったあなたの手に、ペンキがつきます」と説明している。まるでペンキ=コロナウイルスという扱いだ。

▼感染の経路を一般の人に分かりやすく説明することは大切だが、なぜ「ペンキ」なのか。子供向けに説明するなら、「海水浴場の砂」や、「泥んこ遊びの泥」がより分かりやすい。外国からやってくることを強調するなら、中国由来の「黄砂」が最適だ。そもそもウイルスを塗料に例えるのは無理がある。クリヤー以外の塗料はすべて色がついていて目に見えるし、3日で消える塗料はない。

▼これに対し、日塗工、日塗商、日塗装、工塗連の4団体は連名でNHKに対し抗議文を送った。要旨は▽説明されている内容が不適切、不十分である。塗装現場では養生もしているので「ペンキぬりたて」という状況がそもそもない▽ペンキ=コロナ、触ったら汚れる、汚れたら洗う…という表現はうつされないための対処法であり、うつさないための咳エチケットやマスクの着用を政府が奨励しているのに関わらず、内容が偏っている▽塗料は社会インフラの維持に役立つなど、社会的な貢献が高いが、そういったものには一切触れずに、塗料=コロナ=汚いものという表現になっている―の3点だ。

▼7月3日現在でNHK側からの正式な回答はないようだが、番組のホームページには「実際のペンキにウイルスは含まれていません」という一文が追加された。当たり前だ。業界が問題にしているのは、そんなことではなく、ペンキ=汚いものという偏見だ。

▼この番組は、もともと内科医の眞鍋葉子氏がフェイスブックに投稿した原稿が始まりだという。NHKが眞鍋氏に取材し、動画を制作するとともにユーチューブで公開した。だが、塗料と塗装法は大きく変わった。大昔のペンキ塗りたての世界はもうない。ウイルスを除去する塗料が開発され、医療施設などに多く使われている。ペンキは機能性塗料に進化し、人を守るため最前線でウイルスと戦っているのだ。業界から正しい情報をどんどん発信して、いわれなき偏見を正していかなければならない。(合田)

▶ NHK「未来スイッチ~新型コロナウイルスはペンキと考えて」
(※別ウィンドウで開きます)

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