MKS.A RC造震災マンションの復旧へ eラーニングで技術者を育成

坂倉徹会長

 マンション計画修繕施工協会(MKS・A、坂倉徹会長)は11月12日、東京都内で記者懇談会を開き、事業進ちょく状況などを説明した。その中で、同会の会員向け新事業として「RC造震災復旧施工管理技術者講習」をeラーニング形式で実施することを発表した。南海トラフ地震や首都直下地震の発生が危惧される中、RC造マンションの復旧工事に関するノウハウの継承が喫緊の課題になっている。このため、同会ではマンション地震対応支援協会(MEAS)との共催、国土交通省・日本建築防災協会の後援(予定)により「RC造震災復旧施工管理技術者講習(eラーニング)」を今年度から実施することになった。第1回目の講習は2025年2~3月を予定している。

ノウハウを次世代に

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 RC造震災復旧施工管理技術者講習は、東日本大震災や熊本地震の復旧事例などを講習動画にまとめ、その技術を広く継承し、震災発生時に正しい復旧ができるよう、多くの技術者を教育、育成することを目的にしている。

 テキストはダウンロードして使用し、震災時には現場に持参して復旧作業に従事できる。ビデオ(5時間15分)は古賀一八・元福岡大学教授のノウハウをまとめた。

 テキスト・講習動画の主な内容は▽震災後から復旧までのマンションの活動について▽特異な壊れ方をしたマンションの例▽地震で被災したRC造の補修の原則▽RC造建築物被災度区分調査の基本▽部材の損傷度を見分ける訓練▽集合住宅復旧工事のポイント▽非構造壁補修工事のポイント▽構造部材の補修方法▽耐震補強例―など。

 講習後の試験問題(25問)を全問正解すると修了証を発行する。

 講習修了者にはシルバー修了証(技能者教育指導者)が与えられ、協力業者の各職種技能労働者を対象に実施する「RC造震災復旧施工技能者」講習受講者に、ブルー修了証を発行できる。

 また、技術者講習の成績優秀者には特別講習を実施した上で「RC造震災復旧施工指導者」として、ゴールド修了証を授与し「復旧指導員認定」を行う予定。

     ◇

 開会にあたり坂倉会長は、まずこれまでの活動を振り返り「当会は今年で設立16年になるが、その間様々な事業を展開してきた。大規模修繕工事に関係する施工会社グループの全国団体として、会員各社が統一されたきちんとした仕事ができるよう、技術・技能および工事運営のあり方について、時代に合ったテキストや資料を提供し、成果を上げてきた。その間にも国交省と連携を取りながら、国のレベルで考える大規模修繕工事のあり方についても提言してきた。そうした状況の中、住宅リフォーム事業者団体登録制度が創設され、マンションに関係する工事団体では、当会だけが認定されている。それだけに、この分野における工事の責任を団体として担っている」と説明した。

 近年、問題になっている管理組合の修繕積立金不足については「なかなか計画通りの工事が行えない状況が生まれている。2回目、3回目に予定していた工事の積立金を前倒しで使ったり、一時金を徴収したり、工事内容を見直すなどの苦肉の策を講じている管理組合も見受けられる」と指摘。

 管理組合役員のなり手不足に伴い、注目されている第三者管理(外部管理者)方式に関しては「結果的には我々の要望を取り入れていただき、管理会社その他の利益相反が疑われる会社の問題を国交省と一緒にまとめ上げてきた」と報告。「年々多岐にわたる問題が発生しており、それらを一つずつ解決するため、国交省と連携を取りながら進めていきたい」と述べた。

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