建設経済研究所 2020年度の建設投資見通し

建設経済研究所

前年度比0・8%増の62兆7100億円

 建設経済研究所が先月まとめた「建設経済モデルによる建設投資の見通し」によると、2020年度の建設投資は、前年度比0・8%増の62兆7100億円と予想している。政府投資は同0・6%増、民間住宅投資は同1・2%減、民間非住宅投資は2・9%増の見通し。また、2019年度は前年度比2・2%増の62兆2100億円と予測する。

政府建設投資20年度は微増

 2019年度の政府建設投資は、前年度比で3・1%増の21兆3400億円と予測する。 国の直轄・補助等事業費については、一般会計に係る政府建設投資は2019年度当初予算等の内容を踏まえ、また、東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資は「復興・創生期間」における関係省庁の予算額の内容を踏まえ、それぞれ事業費を推計した。

 地方単独事業費については、総務省がまとめた平成31年度地方財政計画等で示された内容を踏まえ、事業費を推計した。また、2017年度補正予算、2018年度第1次補正予算及び第2次補正予算に係る政府建設投資は、2019年度に一部出来高として実現すると想定している。

 2019年度の政府建築物リフォーム・リニューアル投資は前年度比で2・0%増の1兆3700億円と予測する。 2020年度の政府建設投資は、前年度比で0・6%増の21兆4700億円と予測する。

 国の直轄・補助等事業費については、公表された2020年度予算の各府省概算要求の内容等を踏まえ、一般会計に係る政府建設投資を前年度当初予算から微増とし、また、東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資は、公表された2020年度予算の復興庁概算要求の内容等を踏まえ、それぞれ事業費を推計した。

 地方単独事業費については、総務省がまとめた令和2年度の地方財政の課題で示された地方財政収支の仮試算の内容を踏まえ、2020年度予算について前年度並みとして事業費を推計した。

 また、2018年度第1次補正予算及び第2次補正予算に係る政府建設投資は、2020年度に一部出来高として実現すると想定している。 2020年度の政府建築物リフォーム・リニューアル投資は前年度比で2・0%増の1兆4000億円と予測する。

住宅着工 分譲マンションの減少続く

 2019年度は、持家は、2018年度の着工増から減少に転じるものの、政府による住宅取得支援策の効果等もあり、緩やかな減少と予測する。貸家は、相続税の節税対策による着工の一服感が強まると見込まれるため、前年度比で大幅な減少と予測する。分譲マンションは、販売価格や在庫率の高止まりといった状況が続き、前年度比で減少と予測する。分譲戸建は、近年のマンション市況を背景として、引き続き開発が前向きに進められていくと考えられるため、前年度比で増加と予測する。全体としては、分譲戸建は増加するものの、持家、貸家、分譲マンションが減少するため、前年度比で減少と予測する。

 2020年度は、持家は、政府による住宅取得支援策の効果が弱まると見込まれるため、前年度比で減少と予測する。貸家は、減少率は小さくなるものの状況に大きな変化はないと見込まれるため、前年度比で減少と予測する。分譲マンションも、状況に大きな変化はないと見込まれ、前年度比で減少と予測する。分譲戸建は、引き続き開発が前向きに進められていくと見込まれるため、前年度と同水準と予測する。全体としては、持家、貸家、分譲マンションが減少するため、前年度比で減少と予測する。 2019年度の着工戸数は前年度比△6・4%の89・2万戸、2020年度は同△4・2%の85・5万戸と予測する。

 持家は、2019年4~7月期の着工は前年同期比8・0%増であるが、注文住宅大手5社2019年4月~8月の受注速報平均は前年同月比△13・6~△1・8%という動きとなっているため、2019年度の着工戸数は今後減少すると見込まれる。ただし、住宅取得支援策の効果もあり、緩やかに減少すると予測される。

 2020年度は、4つの住宅取得支援策が順次終了していくことからその効果が弱まると見込まれるため、前年度比で減少と予測する。2019年度は前年度比△1・1%の28・4万戸、2020年度は同△4・0%の27・3万戸と予測する。

 貸家は、2019年4月~7月期の着工は前年同期比△15・0%であり、賃貸住宅大手3社2019年4月~8月の受注速報平均は前年同月比△14・6~△2・5%という動きとなっている。2019年度は、賃貸物件の入居率の低下や金融情勢の変化等に伴い、相続税の節税対策による着工の一服感は強まることが予測されるため、前年度比で減少と予測する。2020年度は、減少率は緩和されるものの、状況に大きな変化は見込まれず、引き続き着工戸数は前年度比で減少と予測する。2019年度は前年度比△14・2%の33・5万戸、2020年度は同△5・7%の31・6万戸と予測する。

 分譲住宅は、2019年4~7月期の着工は前年同期比△1・7%で、うちマンションが同△10・5%、戸建が同5・4%増となっている。2019年度は、マンションは、建設価格の上昇による販売価格や在庫率の高止まりといった状況が続き、中古マンションや分譲戸建へ需要がシフトしていると考えられる。大都市圏の中心部等における開発は引き続き堅調であるものの、前年度比で減少と予測する。戸建は、マンション販売価格との関係で割安感のある物件も含め、企業による開発が前向きに進められていくことが主要因となり、前年度比で増加と予測する。2020年度については、状況に大きな変化は見込まれないため、マンションは、前年度比で減少、戸建は、前年度とほぼ同水準(0・9%)と予測する。分譲住宅全体では、2019年度は前年度比△0・3%の26・6万戸、2020年度は同△2・4%の26・0万戸と予測する。

20年度は1・2%増

 2019年8月に公表された国土交通省「令和元年度建設投資見通し」では、新たに「建築物リフォーム・リニューアル投資」が盛り込まれ、その対象範囲を「建築工事における維持修理工事の内、改装・改修工事に該当するもの」と定義した。 今回のレポートでも、建築工事における機能や耐久性の向上を意図して行う工事を建築物リフォーム・リニューアル投資と捉え、その建設投資額を政府・民間別に推計した。

 2019年度の建築物リフォーム・リニューアル投資は、前年度比1・2%増の7兆6100億円と予測する。政府建築物リフォーム・リニューアル投資は、前年度比2・0%増の1兆3700億円、民間建築物リフォーム・リニューアル投資は、前年度比1・0%増の6兆2400億円となることが見込まれる。

 2020年度の建築物リフォーム・リニューアル投資は、前年度比1・2%増の7兆7100億円と予測する。政府建築物リフォーム・リニューアル投資は、前年度比2・0%増の1兆4000億円、民間建築物リフォーム・リニューアル投資は、前年度比1・0%増の6兆3100億円となることが見込まれる。 政府建築物リフォーム・リニューアルについて、建築物リフォーム・リニューアル調査によると、2018年度の政府建築物の改装・改修工事の受注高は、前年度比で微減となっているものの、建設工事施工統計調査の維持・修繕工事の完成工事高は中長期的には緩やかに増加傾向にある。庁舎の防災機能や安全性の向上及び長寿命化に資する工事は今後とも安定的に推移するとみられ、生産性の向上や新技術の活用による効率的な投資が見込まれる。

 民間建築物リフォーム・リニューアルについて、建築物リフォーム・リニューアル調査によると、2018年度の民間住宅の改装・改修工事の受注高は、前年度比で増加、民間非住宅の改装・改修工事の受注高は、前年度比で減少し、民間建築物の合計では前年度比で微減となったものの、建設工事施工統計調査の維持・修繕工事の完成工事高は、中長期的には緩やかに増加傾向にある。2000年代前半に建設された高層マンションが1回目の大規模修繕工事の時期を迎えているほか、省エネルギー対策、防災・防犯・安全性向上などの建築物の高機能化に資する工事は、今後とも安定的に推移していくことが見込まれる。

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