女性ネットワークの会 大林組技術研究所を見学
日本建築仕上学会 女性ネットワークの会
見学会・パネルディスカッションなどを実施
日本建築仕上学会女性ネットワークの会(熊野康子主査)は9月18日、東京都清瀬市の大林組技術研究所で見学会を開催した。見学会は会員同士の親睦と企業間の垣根を越えた活動を目的に年1~2回実施している。今回は会員・一般参加者ら25人が参加。研究所内の各施設を見学したほか、現場で働く女性のアンケート調査結果をもとに、パネルディスカッションを催した。
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見学会に先立ち、勝俣英雄所長が研究所の概要について説明した。同研究所は1965年に設立され、耐震を始めとする各種防災対応技術、環境に優しい建設材料・工法や省エネ技術を開発。その技術を活用して、所内の設備を随時整備・拡張している。現在は約150人の研究員が所属している。
冒頭のあいさつで熊野氏は「女性ネットワークの会はイベント好きの会で、11月には奈良県奈良市、来年1月には愛知県常滑市で見学会を予定している。本日の見学会を機に、今後も行事に参加してほしい」と述べ、同会のこれまでの活動内容を紹介した。
スーパーアクティブ制震「ラピュタ2D」を真近で
その後、2グループに分かれて研究所内の施設を見学。スーパーアクティブ制震「ラピュタ2D」を採用した本館テクノステーション、内・外壁に超大判人工大理石を使用した環境工学実験棟、オフィスビルからラボへのコンバージョン(用途転換)を行った材料化学実験棟などを見学した。
オープンラボ2では、制振・免震技術採用時の揺れを再現する振動体験装置や、KDDI、NECらと共同で開発中の5Gを活用した建設機械の遠隔操作システムを体験。ゲームのコントローラーでの遠隔操作も可能な資材の自動搬送システム(低床式AGV)を操作した。資材を軽々と持ち上げて運ぶAGVに、参加者からは「ぜひ現場で使いたい」「これなら簡単に操作できそう」などの声が上がった。
女性が現場で働き続けるために
見学後は、19年4~5月に実施した「建築現場で働く女性アンケート」の結果について、西元ひとみ(野口興産㈱)、森嶋順子(トーヨー科建㈱)、堀居令奈・吉田理沙(大林組研究所)の各氏をパネラーに迎えてディスカッションを実施。
現場で働いた経験が「10年以上」と答えた人が2015年調査時よりも倍以上に増え、現場のベテラン化が進んでいる現状について、森嶋氏は「ベテランが増えているというよりも辞めないのではないか。ここ2~3年は建築現場に若い女性が増えているように感じる」と意見を述べた。西元氏は「メーカーの営業で女性が増えた。話しやすさが理由だと聞いている」と語った。
また、女性が現場で働き続けるために「育児休暇や子育てが不利にならない評価制度」が求められていることについて、出産を間近に控える堀居氏は「これからどうなるのだろうと思うことはあるが、周囲には出産後も社員として継続して勤務している先輩方がたくさんいる」と発言。母親が公務員で専門職だという吉田氏は「国家公務員は子育て中でも単身赴任をしなければ昇進できないため、母の単身赴任について家族会議を開いたことがある。こういう仕組みがあると、仕事と家庭を両立するのが難しくなる」と述べた。
こうした意見に対して熊野氏は「継続はチャンス。たとえ不本意なことがあっても、それらはいつかチャンスに変わる」と、若い世代の人たちにエールを送った。
次回は11月22日 大和ハウス研究所
女性ネットワークの会の見学会は、次回11月22日に奈良県奈良市の大和ハウス工業㈱総合技術研究所で開催される。見学後の特別講演では、奈良女子大学の瀧野敦夫准教授が「奈良における木材利用・木造建築~吉野杉材から文化財の利活用まで~」と題して講演する。
日時は11月22日13時30分~17時(受付は13時~)。参加費用は会員・非会員(男性の参加も可能)は千円、学生は無料。募集人員は60人。問い合わせ・申し込みは日本建築仕上学会(shiage@finex.jp)まで。
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日本塗装時報第2029号掲載記事