【だめひろい】拡大する新型ウイルス感染 正確な情報と的確な対策を
▼年度末の忙しい時期に大変な問題が起こってしまった。国内だけでも新型コロナウイルスの感染者は、3月6日時点で33都道府県418人(クルーズ船を除く)が確認されている。影響はサービス産業、製造業はもとより、建設工事の現場でも出始めた。国交省は直轄工事や業務で、受注者の意向を踏まえて一時中止や工期の延長を行うことを決めた……
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▼塗装などの仕上工事は年度末が最も忙しい時期だ。ここで一時的にでも工事が止まれば、影響は大きい。国交省が2月27日付で、官房官庁営繕部、地方整備局、北海道開発局、地方航空局の直轄発注部局に出した通知では、すべての受注者に意向を確認し、必要な支援を行うとした。受注者から申し出があった場合は、受注者に責任がないものとして扱い、契約書に基づいて工事・業務の一時中止や工期・履行期間の延長を行う。
▼すでに2県の建設作業員から感染者も出ている。もし元請けから発注者に工事の一時中止の申し出があれば、下請けは現場に入れなくなる。3月15日までの時限措置だが、延長される可能性があり、今後も予断を許さない。
▼国内のウイルス感染は船の中や病院、ライブハウスなど、室内での集団感染(クラスター)が中心である。工事現場のような屋外の風通しの良い場所は、比較的安全なはずだ。ただ、ウイルスの性質が分からないだけに、社会全体に不安が広がっている。マスクは品切れ状態が続く。デマと分かっていても、トイレットペーパーが店頭から消えた。
▼感染のピークがいつになるかについて、専門家の見解も様々だ。風邪だから夏になれば収まるという人がいれば、かつて第一次世界大戦を上回る死者を出したスペイン風邪並みの流行になると予想する人もいる。今は真夏のオーストラリアや、東南アジアの暑い地域でも感染者が増えているから、気温の上昇で収束すると楽観できない。ただ、シンガポールでは、6日現在で130人の感染者のうち、死者はゼロで82人が回復している。タイやマレーシアなども回復率は高い。暑いと重症化しにくいという説がある。
▼塗料メーカー各社は、政府方針に従って感染防止対策を始めた。▽在宅勤務(テレワーク)・休暇の取得▽時差勤務の実施▽出張・大人数の会議の自粛―などが柱だ。すでに働き方改革の一環として、時差通勤、年休の取得を進めていたところも多い。会議にテレビ会議を本格的に導入することで生産性向上に役立ったという話も聞く。国交省は来年度から監督・検査に「ウエアラブルカメラ」を利用した「遠隔臨場」を試行する。現場に行かずに、リアルタイムで配信された映像による監督・検査を実施するものだ。これを契機に従来の業務を見直し、新技術で生産性向上を図れば、「災い転じて福となす」ことになるのだが。(合田)
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日本塗装時報第2035号掲載記事