メーカートップの年頭あいさつ-2 日ペ・田中正明会長兼社長

「アニマルスピリット」を
日本ペイントホールディングス・田中正明会長兼社長

 日本ペイントホールディングスは、2020年から経営体制を大幅に変更致しました。当社グループは、ここ数年間に、従業員数2万5千人のうち日本人は3千人、売上高の7割以上が海外と、グローバル化が進み、事業構成も大きく変貌してきています。その結果、時価総額も2兆円近くの企業に成長しました。

 このような変貌を遂げた企業の経営には、いくつかのことが必要だと考えています。

①常にものごとをグルーバルな視点で観るマインドセットを保有する組織・人材
②世界の動きは早く、そのスピードに対応できる迅速な経営上の意思決定がなされうる態勢
③経営陣はリスクをよく把握する努力をしながらもリスクをとって前に進む一方、取締役会はその戦略を理解しつつ監督機能をしっかり発揮する分業態勢
④グローバルに展開する組織同士が協働の機会を見つけシナジーを発揮する態勢
などです。

 こうした視点から、4月1日の東京本社設置と、指名委員会等設置会社への転換をおこないます。指名委員会等設置会社になりますと、執行サイドの裁量の幅が大きく広がり、意思決定のスピードを上げることができます。一方、取締役会は戦略をよく理解した上で監督機能を発揮するという重要な役割を担うことになります。

 私は、スピード感のある意思決定をするためにも、国内事業会社の社長を含め、世界のパートナー会社(連結子会社をパートナー企業と呼びます)のCEOとのダイレクトなコミュニケーションを大事にしたいと思っています。また、中央集権的に日本の本社が全てを指揮する「放射線型経営」ではなく、例えば、DuluxGroupとNIPSEAのようなパートナー会社間で自由闊達にシナジー発揮の機会を見つける「蜘蛛の巣型経営」を採用します。

 2020年は、日本ペイントホールディングスグループにとって、「N―20」と名付けた中期経営計画の最終年度であり、まずはその計画達成に全力を傾けねばなりません。それに加えて、翌年度からの力強い中期経営計画の策定作業に入ります。日本の塗料市場については、その成長力があまり期待できないという厳しい見方もある一方、世界の人口は増加し続けており、人口増加に付随していく塗料市場は、グローバルな視点で見る限り、成長機会が大きい産業です。また、日本の塗料事業においても、技術的なブレイクスルーを発見する余地はまだまだあると考えており、わが社の1千人の技術陣を鼓舞し、社会課題に応える形で新たな需要を作り出すことにも取り組みたいと思っています。

 私たちは、日本の経営から薄れてきたとされる「アニマルスピリット」を呼び戻し、世界に冠たる日本ペイントホールディングスグループを作り上げていく決意です。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

日本塗装時報第2033号掲載記事

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