塗装各団体の力を合わせ難問克服と業界の幸せを
一般社団法人 日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 会長 奈良間 力
新年明けましておめでとうございます。平素は会員の皆様をはじめ関係各位のご支援ご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。
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さて、この一年を振り返りますと、先ずは平成から令和へと年号が変わり、皇位を継承された天皇陛下、雅子皇后の即位式が滞りなく執り行われたことです。即位礼正殿の儀や大嘗祭など一連の皇室行事を拝見して、多くの国民が感動したと思います。
次に、世界的な異常気象を背景として、酷暑・豪雨、とりわけ台風15号と19号の被災が大きく、被災者の皆様にお見舞いと一日も早く復興されることを心からお祈り申し上げます。
そして、10月から実施された消費税増税と分かりにくい軽減税率です。
明るい話題としては、流行語大賞に選ばれた「ONE TEAM」で燃えたラクビーワールドカップでのチームジャパンの大活躍でした。
今年はいよいよオリンピック・パラリンピックの年です。世界のアスリートが集う一大イベントが東京で開催されます。 RWCでみせた日本の『お・も・て・な・し』を世界に発信したいものです。 さて、オリンピック景気にも支えられて昨年は建設業界全体が好調であり、塗装業界もまずまず元気だったと思います。 とりわけ昨年は国土交通省発注の塗装工事も増加し、首都圏では首都高をはじめ隅田川の橋梁塗装などインフラ改修が進められました。
むしろ、これからの発注計画が心配されますが、トータルでは2020年の建設投資見通しは62兆円規模と横ばいの計画であります。特に、インフラ維持工事として7兆円規模の「防災・減災、国土強靭化計画」があります。更には、全国70万橋の橋梁耐久性診断の結果として改修が必要とされた橋梁6・5万橋の改修に着手しなければなりません。災害が起きてからでは遅いのです。
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橋塗協(JASP)では、こうした橋梁や鋼構造物の保全を図る重防食塗装の専門工事業の団体として、社会資本を守る活動をしています。 橋塗協の取り組みでは、重防食塗装に関する技術や工法の開発と普及に努め、技術発表大会や地区合同研修会の開催、機関誌「Structure Painting」を発刊しています。
また、全国各地の要望に応えて、「鋼橋塗装の現と長寿命化への取り組み」のテーマで、行政・コンサル・ゼネコンなどを対象とした研修会を実施しています。更に、首都高塗装工事対象者に対して「火災事故再発防止教育講習会」も実施するなど安全教育にも力を入れています。教育面では、高塗着スプレー塗装施工管理技術者認定講習、2級土木施工管理技術検定試験(鋼構造物塗装)受験準備講習会なども実施して、技術者の育成を図っています。
この他、当協会が推奨する「高塗着スプレー工法」は実績が100万㎡に達しましたが、高効率な工法として更なる普及に努めたいと存じます。 現在、橋塗協が取り組んでいる活動の第一は、インフラを守る公共工事の塗装工事の市場を継続的に確保することです。その上で、信頼される専門工事業としての受注施工体制を築かねばなりません。
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課題は、先ず担い手の育成、確保があります。安全でやりがいのある魅力ある職場作りです。現在、昨年から実施されている「建設キャリアアップシステム」への取り組み、これから本格化する「働き方改革」、「特定技能外国人制度」などの取り組みがあります。しかし、現実は理想とは遠く多くの難問をクリアーしなければなりません。当協会では、こうした行政からの要請に対して、日本塗装工業会を中心とした塗装5団体がまとって対応しています。
昨今は、「VUCA」(ブーカ)の時代と言われます。 不安定で変化が激しく(Volatility)、先が読めず不確実性が高い(Uncertainty)、複雑で(Complexity)、曖昧模糊とした(Ambiguity)の時代という意味だそうです。 少子高齢化の時代にあって、変化の激しい市場環境と加速化するイノベーションの中、働き方や価値観が多様化しています。
「Society5・0」では、「あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」を目指そうとしています。 私たち塗装業界も各団体が力を合わせて、業界の幸せを求めたいと思います。
文化功労者・文化勲章受章者の中西進先生は、幸せとは「し・あわせ」、つまり、お互いに何かをし合うことです。「人間は、人から求められているとき、最も幸せである」。これはジョージ・ギッシングという英国のエッセイストの言葉で、中西先生の座右の銘です。 新年に当たり、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
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日本塗装時報第2051号掲載予定