関ペの蓄電池用材料がトヨタの新型「ヤリス」に採用
関西ペイント
電池自体の性能向上と優れた安定性を実現
関西ペイントが開発したリチウムイオン電池用材料が、トヨタのコンパクトカー、新型「ヤリス」に採用された。同社グループは、2年前から分散技術をリチウムイオン電池材料に適用することを検討していたが、このほど初めて実用化に成功したもの。
このたび採用されたリチウムイオン電池用材料は、車載用電池の正極膜を構成する材料の一つ。導電助剤となる導電カーボンについて、導電性付与に最適なカーボンの分散状態を実現し、従来品より粘度が低い液状物「正極用導電カーボンペースト(スラリー)」として開発した。
塗料分野で培ってきた基幹技術である分散技術の適用により、最適な導電性を付与することで、電池自体の性能向上と優れた安定性を実現。また、従来品よりも低粘度の液状物として提供するため、電池製造時における作業性が良く、製造プロセスの改善にも寄与する。
同社では名古屋事業所および兵庫県の小野事業所で、今後の需要増加にも対応する生産体制の構築を進める。世界的な脱炭素化が急速に進んでおり、軽量で耐久性が高いリチウムイオン電池は今後、飛躍的な需要増加が見込まれるほか、車載以外の用途への適用拡大なども期待されている。
日本塗装時報第2034号掲載記事