日ペHDと東大 産学協創協定を締結 「革新的コーティング技術の創生」講座開設
日本ペイントホールディングス/東京大学
日本ペイントホールディングスと国立大学法人東京大学は5月18日、産学協創協定を締結した。協定を通じた取り組みとして、同大学大学院工学系研究科に社会連携講座「革新的コーティング技術の創生」を開設する。
協定期間は、今年10月から2025年までの5年間を予定。総合研究機構の脇原徹教授が担当する。講座開設にあたっては、日本ペイントホールディングスが10億円規模の資金を提供する。
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同社と同大学は、協定を通じて「塗料とコーティング」を軸とした、新たな技術を創出する。
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具体的には▽抗菌・抗ウイルス機能を有し、感染拡大防止を実現するコーティング技術の研究▽将来予測されるスマート・リモート社会の基盤を支え、社会の効率性向上に貢献するコーティング技術の研究▽環境負荷低減・社会コスト抑制に貢献するコーティング技術の研究―を行う。
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また、気候変動や自然破壊などの環境問題、高齢化社会や先進諸国における人口減少、資源枯渇などの社会課題に対し、革新的な塗料・コーティング技術を創出。新たな機能を有する塗装材料の探索、塗料の設計、塗装プロセスの革新などにつながる物理的・化学的プロセスの解明や制御技術の確立などに取り組む。
次世代のコーティングでは、高機能な塗料の調製条件を理解した人材、塗布時の分子レベルの挙動を理解した人材、塗装工程全体を俯瞰(ふかん)して新たな塗装プロセスを設計できる高度な人材を輩出するための教育プロセスを確立する。
新型コロナ対策など研究
東京大学は、国際連合が採択した 17の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、誰もが活躍できる未来社会協創の実現を目指している。その中で、SDGsの達成にむけたグローバル展開を視野に協業できるパートナーを探していた。同大学大学院工学系研究科は、これまでにも異分野融合を進めながらさまざまな社会課題の解決に取り組んでいた。現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に貢献できる工学研究や、ポストコロナ社会を見据えた研究を強化している。
また、日本ペイントホールディングスは、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会不安に対して、塗料・コーティング・表面処理により貢献できる技術の開発を強化していた。今回の協定締結により、同社グループの塗料・コーティング技術の総合力と、東京大学の研究者およびその研究成果とが結びつくことを期待している。
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協定締結後、五神総長は「今回の産学協創を通じて地球規模の課題を解決し、世界中の人々に快適で安心・安全な暮らしを提供したい」と述べた。
田中会長兼社長兼CEOは「当社には日本だけで千人を超える技術者がおり、これまでにも社会課題を解決するための技術開発を重視してきた。今は新型コロナウイルスに関する課題解決が、われわれにとって最優先すべき事項だ。当社が持つグローバルな研究開発ネットワークも活用し、世界の環境保護や持続的社会を実現したい」とコメントしている。
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日本塗装時報第2038号掲載記事