MTS、マンション管理セミナーを開催 齊藤、戎氏ら講演

 マンション適正管理サポートセンター(MTS、小野利行会長)は2月14日午後、大阪市内の会場とYouTube公式サイトからのライブ配信により、「令和8年マンション管理適正化セミナー」を開催した=写真。講師は齊藤広子横浜市立大学教授、小板橋紀哉国土交通省近畿地方整備局建政部住宅整備課長、戎正晴弁護士(MTS副理事長)、川口宜人マンション管理士(MTS 理事)。

 開会にあたり、小野会長は「本日、登壇いただきます各講師の皆様は、マンション管理では第一流の方々で、必ずや課題解決の大きな道しるべになるものと確信している」とあいさつ。

 まずマンション管理の専門家・齊藤氏が講演した。齊藤氏は、行政が良好な管理状態を認定する「管理計画認定制度」の重要性を指摘。認定を受ければ、市場で「良いマンション」として可視化され、住宅ローン金利の優遇や資産価値の向上に直結する。特に、所有者・居住者名簿の整備や30年以上の長期修繕計画、ITを活用した総会の円滑化が認定の鍵となる。

 「マンションは資産である前に、命を支える生活の場」と語り、単なる修繕に留まらず、断熱改修やバリアフリー化などの「バリューアップ」を提案。多世代が住みたくなるビジョンを掲げ、専門家と連携して「100年持たせる管理」を目指すべきだと締めくくった。

 次に、近畿地方整備局の小坂橋氏は2026年4月に全面施行されるマンション法改正の狙いを解説した。築40年超の物件が5戸に1戸を占め、居住者の高齢化や積立金不足が深刻化する中、行政は「二つの老い」への対策を急ぐ。

 今回の改正の柱は、合意形成の円滑化だ。所有者の無関心や所在不明によって決議が滞る事態を防ぐため、出席者の多数決による修繕決議や、所在不明者を母数から除外する仕組みを導入する。また、建て替え以外の選択肢として「一棟リノベーション」や「敷地売却」の決議要件を緩和し、多様な再生手法を後押しする。

 さらに「管理計画認定制度」を新築時にも拡大し、分譲時から適正管理を担保する体制を整える。小坂橋氏は法に抵触する現行規約は施行日に効力を失うとして、早期の規約見直しと行政の支援策活用を呼びかけた。

 続いて、戎弁護士はマンションの「管理」と「再生」を一体で考える重要性を説いた。戎氏は、再生を「管理組合の終活」や「お葬式」に例え、建物が廃墟化して周囲に危害を及ぼす前に、いかにソフト着陸させるかが現代の課題であると指摘した。

 背景にあるのは、令和2年に起きた老朽化マンションの行政代執行や、擁壁崩落による死亡事故だ。擁壁の修繕は長期修繕計画外であることが多く、突発的な巨額負担が管理組合を追い詰める実態がある。戎氏は「所有者には、共有物の維持コスト負担に加え、工作物責任(賠償責任)、そして廃墟を残さない責任の三つがある」と強調した。

 今回の法改正は、長寿命化に向けた「管理」と、廃墟化を防ぐ「終活(再生)」のメニューを増やし、合意形成のハードルを下げるものだ。戎氏は「適正管理で寿命を延ばす努力と同時に、いざという時の除却や売却といった出口戦略を、管理の延長線上で準備すべきだ」と強調した。

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