
日本塗料工業会(若月雄一郎会長)は3月7日、長瀬産業(東京、上島宏之社長)、TOPPAN(東京、齊藤昌典社長)と共同で制作した「塗料業界向け労働災害体験VRコンテンツ」を発表した。
VRを通じて、従業員が没入感のある主観的な目線で労働災害を仮想体験することで、製造現場における危険性を自覚し、労災防止意識を高める。塗料業界特有の危険状況を反映して制作しており、労災を未然に防ぐためのソリューションとして、労働環境の改善や生産能力向上への貢献を目指す。長瀬産業が発売元となり、3月から販売を始めた。
従来、労災予防手段として、座学や動画視聴を実施いたが、これらの方法では「はさまれ」「巻き込まれ事故」「転落」「有害物との接触」など塗料業界特有のリスクに対する学習効果が十分でなかった。
今回開発したコンテンツでは、VR専用ゴーグルを使用し、塗料業界の現場で直面する可能性の高い「ドラム缶指挟み」「静電気火災」「撹拌機巻き込まれ」という3つの危険な状況を仮想空間で体験できる。これにより、危険を実感し、労災防止への意識を深める効果が期待できる。
TOPPANは同コンテンツの制作、VRゴーグルへのコンテンツインストールを担当。長瀬産業は、化学系専門商社として塗料業界のネットワークを活用し、プロジェクトのマーケティング支援、同コンテンツがインストールされた安全教育用VRゴーグルの販売を行う。
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コンテンツは、TOPPANが製造現場(職場)の労働災害防止を目的に開発した「安全道場VR」をベースにした。これは労働災害・事故が起こりやすい10種の事故シーンを360度の実写VR映像で視聴することで、よりリアルで効果的な安全衛生教育ができるツール。現場での事故防止や職場の安全衛生教育ツールとして多数の導入実績がある。
VRを体験できるヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)に再生用アプリがセットされ、他のPCやネットワーク環境などが不要。VRゴーグル単体で簡単に使え、現場での安全衛生教育にすぐ活用できる。
専用ゴーグルには、TOPPANが開発した汎用コンテンツが既にインストールされており、今回、長瀬産業が販売する「安全道場VR」のオプションとして、塗料業界向けに新たに3つのコンテンツが追加された。作業の危険性をより分かりやすく説明するため、本人視線より第三者視線を中心にした。追加されたコンテンツは次の通り。
【ドラム缶板挟み】ドラム缶を置き場に戻す際に、誤った持ち方によって労災を体験。
【静電気火災】誤った手順でシンナー小出し作業を行った際に引き起こされる労災を体験。
【攪拌機巻込まれ】攪拌機を稼働させている状態で紙袋原料の仕込みを行う危険性を体験。