
▼ゼネコン大手の第1四半期決算は全般に好調だった。鹿島、清水は増収増益、大成は減収ながら大幅な増益。大林は前年同期に大型工事が竣工した反動減があったものの、営業増益を確保した。増益の要因に各社が挙げているのは、「採算性の良い案件の寄与」だ。受注の段階で採算を第一に選別し、採算性の悪い案件には、そもそも手を上げない。
▼ここ数年で施主やデベロッパーと、ゼネコンの力関係が逆転しつつある。東京・中野サンプラザの建て替え事業が象徴的だ。地域のランドマークになるような有名な建物でも、資材・人件費の高騰分はきちんと要求し、当初の見積金額に上乗せする。採算が合わなければ無理して取りにいかない。
▼ただ、大手が選別受注を進めると、サブコン以下にはマイナスの影響がある。どうしても効率の良い大型工事が中心になり、繁閑の差が大きくなるからだ。工事の平準化ができず、経費の負担だけが重くのしかかる。
▼一方で改修市場は、住宅工事が低調だ。国交省のリフォーム・リニューアル調査によると、今年1~3月の受注は非住宅が18%増加したのに対し、住宅は14%減少した。物価高騰が消費マインドに影響しているためだろう。塗料メーカー各社の第1四半期決算でも、建築用塗料は出遅れている。
「熱中症対策は遮熱塗料で」業界挙げたアピールを
▼このような環境だと、特長ある機能性商品をアピールしていくことが大切だ。塗料・塗装業界には「遮熱塗料」という強力な商品がある。猛暑により、熱中症対策が喫緊の課題になっている今こそ、認知度を高めるチャンスである。
▼消防庁のデータによると、熱中症で救急搬送される人は、「住居」が約4割と最多になっている。年齢区分別では、高齢者が最も多い。発生時間帯は15時台、11時台、14時台が多いが、涼しくなる夜の時間帯(18時台~9時台以前)の発生率も約20%ある。
▼夜、家の中で熱中症にかかるのは、昼間に蓄熱された屋根や外壁からの輻射熱が室内にこもり、外気が下がっても室内の温度を下げないことが一つの原因になっている。エアコンの冷えに敏感な高齢者が、エアコンがあっても使わず、がまんしていると熱中症になってしまうケースが多いという。
▼こうした問題への対策には、遮熱塗料が最適だ。屋根や外壁を躯体から本格的に省エネ改修するには、大層な費用がかかる。遮熱塗料を使えば、最も安く上がり、確実な効果が期待できる。ただ、作業が苛酷になる真夏の工事はなるべく避けたい。熱中症問題が一段落する時期にこそ業界を挙げたPRが必要だ。(合田)