【だめひろい】Z世代をリクルートするには「タイパ」の追及で残業減を
- 2024/5/18
- だめひろい
【だめひろい】Z世代をリクルートするには「タイパ」の追及で残業減を
▼「最近の若者は…」というグチは、古代エジプトのピラミッドにも書かれていたらしい。古今東西を問わず、若者の考えは年配者から理解されにくいようだ。いま世界的に「Z世代」が注目されている。「Z世代」とは1990年代後半から2000年代に生まれた世代で、10代前半から20代後半までの年齢層を指す。野村総研の分析によると、この世代は「タイパ(タイムパフォーマンス)重視の効率主義、強い仲間志向、仕事よりプライベート重視、多様性を重んじるなど、従来の若者以上に特徴的な価値観を持っている」という。仕事よりプライベート、タイパ重視の若者をリクルートするには、週休2日への取り組みが重要だ。
▼建専連がこのほどまとめた「令和5 年度働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果」によると、就業規則では25・9%の企業が「4週8休以上」としているが、実際に取得できた休日は10・2%にとどまった。前年度(12・0%)も下回り、週休2日の実現は逆に遠ざかった。公共工事を主体にする企業は休日取得が進んでいるが、民間工事では後退している。
▼それでも塗装業に限ると、4週8休以上を実現した企業は15・3%(前年度10・0%)、4週7休程度23・7%(同20・0%)と休日の取得が進んでいる。請負階層別では全体に元請が高く、下請の階層が増えるにつれ低くなる傾向がある。塗装業の場合、他の業種より元請比率が高いことが、休日の取得をしやすくしているのではないか。
▼同調査によると、週休2 日制を導入できない理由としては「適切な工期が確保できないため」が64・8%と圧倒的に多い。次いで「元請企業が休ませてくれないため」「人手不足のため」が、40%台で続く。「週休2日制に関する意見、要望」としては、塗装会社からは「現場作業は天候に左右されるため土日を確定させる休暇は困難」「日給月給制の技能労働者においては、モチベーションの関係で月給制は希望しない人がほとんどで、土や祝日は休まず出勤希望者が多い」「職人さんは働きたい人と休みたい人と2極化している」「人手不足のため、休むことができない」「時代の流れであり、他業種と比較すれば当然取り組むべき事案である」などのコメントがあった。
▼正社員技能労働者の平均年間残業時間は、「120時間未満」が52・4%、次に「120時間以上240時間未満」21・3%と、約7割が240時間未満だった。ただ、12・1%の企業は今年4月から始まった規制(360時間以上)を超える残業をしている。塗装業に限ると、5・1%の企業が360時間以上の残業をしており、改善が必要だ。「タイパ」の追及は「生産性の向上」に他ならない。Z世代を昭和のやり方に慣らすのではなく、Z世代の合理性、ITスキルを取り込む努力が必要ではないか。(合田)
日本塗装時報第2093号(2024年5月18日号)掲載記事