「変革の断行を」大日本塗料・里隆幸社長
目下策定を進めている次期中期経営計画については、具体的な内容はまだお伝えできませんが、キーワードとして「変革の断行」を掲げたいと思います。皆さんには、2020年からはこれまでとは違うという覚悟で臨んで頂きたいと思います。
本年は、かねてより準備を進めてきた2つの技術センターが開所いたします。両センターでは対象となる顧客層が異なることから、画一的な運用に拘る必要はありません。共通するのは、当社とお客様双方に利益を生み出す仕組みを構築するという目標です。
現実的には、本年はセンターの周知活動がメインになるでしょう。その活動を通じてお客様のニーズをしっかりと汲み取り、実利を生み出す技術センターへと検討を進めて下さい。また、技術センターの立ち上げは、「カスタマー・ファースト」を対外的にも示すことが出来る取り組みです。多額の資金をつぎ込んだ本プロジェクトは、会社としても大きな挑戦であり、経営としても各種の支援を行ってまいりますので、是非ともこの挑戦を成功に導いて頂きたいと思います。
技術センターが攻めの施策とすると、守りの施策として抜本的な製造原価の低減にも注力してまいります。従前のプロセスイノベーションPJに加えて、12月より原材料コスト低減に向けたプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは私がプロジェクトオーナーに就き、私自身も挑戦心を持って本腰を入れてやり抜く覚悟です。
管理部門も他人ごとではなく、現状維持の殻を打破しなければなりません。既に、本格的な実行フェーズ段階にある「働き方改革」を通じて、一人あたりの労働生産性の向上に努めて下さい。変化を恐れる組織に将来は訪れません。既に設定した部署ごとの目標に留まらず、更なる業務効率化に向けた能動的な挑戦をお願い致します。
海外においても、事業環境は芳しくありませんが、この一年を耐え忍ぶ一年と割り切り、中国新工場の安定稼働に向けた諸手続きを最優先に取り組んで下さい。
また、本年から国内事業部と収益責任を共にすることから、全社の海外戦略を担う国際本部は、従来にも増してその役割を再認識し、将来の成長戦略を描いて頂きたいと思います。
恒例になりますが、今年の干支は「庚子(かのえ・ね)」です。 十干(じっかん)の「庚(かのえ)」は、「前年からの物を継承しつつ、思い切って更新・進化させる」との意を表し、十二支の「子(ね)」は、「新しい生命が種子の内部から芽生える状態」を示すそうです。つまり、庚子(かのえ・ね)の字義に照らせば、本年は「過去の成果から引き継ぐべきものを継承し、時には改めることで、新たな飛躍への第一歩を踏み出す年」と解釈され、まさに「変革の断行」にふさわしい年と言えるでしょう。
まずは、現在の中期経営計画を良い形で終えられるよう全力を投じ、4月からの新たなスタートに繋げてまいりましょう。この1年間で、当社にはびこる保守的な思考や前例主義を打破し、変革を断行するという挑戦心を、皆さんと共に醸成していきたいと思います。
創立70周年記念式典でも申し述べましたが、先人の方々のたゆまぬ努力によって迎えることができた創立70周年を一つの節目として、これから先、来るべき80周年、90周年、そして100周年に向けて、塗料販売業としての、日塗商組合員としての自覚と誇りを後継の方々に必ず引き継いでいかなければならないと、強く心に誓う次第であります。
今年は庚子(かのえ・ね)年です。十二支の最初である子年は変化が生まれる年、新しい何かが始まる年と言われています。株式市場でも「子年は繁」という格言があり、株価が上昇する傾向にあると言われています。まさにその年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。56年ぶりに東京で行われるオリンピック・パラリンピックの経済効果に期待しつつ、国民が心を一つにして応援したいと思っております。
末筆ではございますが、今年が皆様方にとって幸多い年になりますことをお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
日本塗装時報第2033号掲載記事